にっき 1  201X年

 名乗らなくても、名前がなくても、あなたがあなたでありますように。


 私の日々は変わらなくなった。一日に一度犬の散歩をしなければならないから、その為だけに生きている。今日はとても晴れている。この季節特有の頬を撫でるような風が好きだ。コタロウとの強制された散歩も本音で好きだ。
 しかしこれは私が感じていい感覚ではない。何故なら今は私と同じ年齢の人間は学校に通う曜日で授業を受けている時間だからだ。こんな事をしているのは私だけ。私だけが外にいる。
 そう、理性的に考えて私は死ななければならない。
 一体何が、誰が悪かったんだろう。この考えに至った私だろうか。この私を産んだ両親だろうか。私がこれまで関わった社会の一端だろうか。うん。見ての通りもう考える気はない。問いの答えが出ても私は変わらないから。変える気ももう無いから。考える必要のない世界にいきたいから。

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